日本では、15人に1人という割合でこれまでにうつ病を経験し、現在うつ病で治療を受けている人が100万人を超えていると言われています。うつ病を一時的な症状と思い込み、放置すると日常生活や人間関係にさまざまな支障をきたす可能性があります。
うつ病の治療には、精神療法、薬物療法などがあります。
薬物療法が望ましいと判断された場合には、セロトニンやノルアドレナリンに作用するSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害剤)やSNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤)NaSSA(ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ剤)などの抗うつ薬が使われることがあります。
医師による診断から治療を開始する「急性期」を経て、症状がほぼなくなる「断続期」へ進み、やがて安定した状態が保たれる「維持期」へ向かうとされています。
また、うつ病は思考力や判断力が低下した状態ですので、仕事や家庭の環境変化につながるような人生の大きな決断は症状が安定するまで延期しましょう。
うつ病を患うと、日常生活が乱れ、仕事や会社に行けなくなるなど、ご本人やご家族に大きな不安を感じるようになります。早く今までの生活に戻りたいと焦ってしまいがちですが、焦りは禁物です。無理に話を聞こうとはせず、ご本人から話されるようになるまで待つ姿勢が大切です。今まで不安を感じ、一人で抱え込んでおられた話をゆっくり聞いてもらうだけでも効果はあります。
また、閉じこもりがちな生活をやめさせようと、無理に外に連れていったりせず、ご本人のペースに合わせて行動をするように心掛けてください。ご家族や友人の関わり方は、治療に大きな影響を与えます。ご本人をそっと見守り、温かく迎えいれてあげてください。